9月17日からタイ・チェンマイで競技が開催される重量挙げの世界選手権で、甲州市出身の今村俊雄さん(27)=高野建設=が62キロ級に出場し、来年の北京五輪の出場枠獲得に挑む。アテネ五輪後に伸び悩み、一時は引退を考えたが、周囲の励ましに応え、北京五輪に集大成の思いを掛ける。そのためにも「まず世界選手権で好成績を残し、代表選出にアピールしたい」と意気込む。
総合11位に終わったアテネ五輪。一種の達成感を感じつつも、帰国後にメダルラッシュだった日本勢のインタビュー記事などを見て、「自分はメダルを目標にしていなかった。五輪に出るのが目標だったので出場したことで満足していた」と闘志を呼び覚ました。
年齢を考えて69キロ級に階級を上げたが、世界で選手層の厚い階級だけに、平成18年の世界選手権を前に62キロ級に戻した。北京を目指すための決断も、2年間減量せずにいた体重は70キロを超えていた。1カ月で8キロ以上落とさなければならず「この2年間は何だったんだ」とむなしさに駆られた。
減量に苦しみ、世界選手権はトータル265キロの目標に5キロ足らない23位。「現状では五輪出場なんて言えない」。思わず日川高時代の恩師で全日本男子の小宮山哲雄監督に引退を告げた。
どん底にあえぐ今村さんを励ましたのが、日川高の恩師だった。「62キロと69キロのどっちでやりたいのか。先生たちは応援しているから」。武井多加志教諭の言葉が心に響いた。自分のことを本気で考えてくれていると感じ、「応援してくれるんだから続けなきゃいけない」と現役続行を決意。今年5月の全日本選手権で優勝者にトータル1キロ差の2位と盛り返した。「調子は悪くなかった。世界選手権に出るため2位以内に入る作戦だったから」と前向きにとらえられた。
来夏は28歳。北京五輪を区切りに現役引退を決断している。その後は競輪に転身するつもりだ。五輪入賞者には競輪学校の特別選抜入試の応募資格が与えられる。「北京五輪で集大成を見せたい。そして次の道につなげたい」。退路を断って臨む五輪に並々ならぬ決意がうかがえる。
【産経新聞】